「嫁はいらないが孫が欲しい」

 ■相談

子供は二十三歳と二十一歳、二人そろって公務員になってくれました。

最近、私の同級生から、孫ができたとか、結婚したと聞き、何だか自分のところの子供が取り残されたような気持ちになります。特に、えーっ、アノ子が、というような子供さんが結婚したときくと、よけいにその思いが強まります。

私は自分の結婚が二十一歳だったということもあり、ぜったい、四十代でおばあちゃんになりたい、若いおばあちゃんですね、といわれたいのですが、それがかなわないようで毎日なんともあらわしがたい気分です。

いくら母親といえども息子たちの結婚はきめられません。でも…。

さらにいうと、嫁はいらないのですが、孫がとてもほしいのです。それから、息子が結婚しても、夫と二人の生活は考えられません。息子たちといっしょにすむよう、今からいっております。

                      奈良県 女性(48)

■回答

ははあ、何とも遺伝子の命ずるがままに、この年齢まで純粋に生きておられる方も珍しい。いやいや、けなしているのではありませんぞ。確かに息子さんたちにはあなたの遺伝子50%が共通しているわけで、お二人とも人も羨む公務員にされたのだから結婚もよりどりみどり、おなたのお気に入りのお嫁さんを見つけて、また優秀な子供がたくさん出来れば、更に更にあなたの遺伝子のコピーは増え続けます。難しい言葉でいうと包括適応度を上げることが出来ます。「嫁はいらない」とおっしゃる。なるほど確かにお嫁さんの遺伝子はあなたとは共通度ゼロですものね。夫と二人の生活は考えられません・・・か?ま、夫もよく考えてみれば遺伝子繋がってませんものね・・

 ただね、あなたがどう考えようと周囲が同じように考えるかどうか分かりませんよ。息子さんがお嫁さん側についたら、どうします?ご主人だってあなたの意見を尊重してくれる保証はありません。要するに、あなたの遺伝子の欲するがままの行動は、周囲の人の遺伝子の欲するところと抵触するのです。どうもあなたはそこんところを無視して、我が道を行こうとしておられるようで非常に危険です。このままいくと周囲から袋だたきの目にあうこと必須です。ここはあまり露骨に行かないのが得策でしょう。息子さんに同居を勧めるなんてとんでもないですよ、返って反発をくらいます。それから努々「嫁はいらないんです」なんて口が裂けても言っては駄目ですよ。それとなく、それとなく行きましょう。

 

 ドーキンスという生物学者が書いた「利己的な遺伝子」って本、ご存じ?少し簡略化し過ぎてますけど、要するに、我々個体じゃなくて遺伝子の方が主人公だという説なんですけど。ドーキンス流にいうとね、あなたの遺伝子たちが増殖しようと、あなたにそんな考え方をさせるのかもね。でもね、単純に利己的な行動は結局子孫の数を増やせないことが証明されてます。一番良いのは一人勝ちをしないこと、周囲の人も勝たせて自分も少しだけ勝つこと。息子さんやご主人、将来のお嫁さんの遺伝子とも争うことなく共存共栄で行きましょう。そう、ぼくのお師匠の頼藤和寛先生の本「賢い利己主義のすすめ」がおすすめです。