産経新聞 中川晶の生き方セラピー 第31回 平成16年11月13日掲載「「内気で人の輪に入るのが苦手」

 相談2

 

親しい人が私のことを「あの人は気が利かない」といっていたことが、耳に入りました。

 自分でもそれは認めるところです。それが気になり、あの時はああだったとかこうだったとか気にしています。私はおとなしく内気で、友人もつくりにくく、人の集まる輪に入ると、浮いた存在になります。そんな性格がとてもいやになります。長い間悩んできました。なるべく積極的に人の中にでるように、話すようにしているのですが、性格はなおりません。老後はさびしい人生にならないようにしたいのですが、どうしたらよいでしょう。

 趣味は読書です。

 

 和歌山県 農業(58)

 

 

 

回答

 性格の悩みですね。まず概して自分の性格が気に入ってる人は、かなり少ないという事実をお伝えすることから始めましょうか。性格に限ったことではなく、どうも自分のこととなると全般的にアラが目立つようです。ぼくも自分の写ってるビデオなんか見るとぞっとしますもの・・嫌な声、嫌な顔。これってかなり一般的なんですよ。

 でも、もし性格が変えられるとしたら、本当に変えたいですか?今まで慣れ親しんだ性格がガラリと変わってしまったら、戸惑いませんかねえ?それよか、自分はそのままで周囲が変わってくれたほうが楽ですよ。ん?答えになってない・・周囲が変わらないから、いっそのこと自分が変わろうとしているってですか。なるほど、周囲は容易には変わってくれません。しかし、だからといって性格を変えてしまうのは早急じゃないですかねえ?

 気が利かないと言われたそうですが、逆にみるとあなたは、きっととても真面目なんだろうなあ。人のなかに入ると浮いてしまうと言われますが、きっとあなたは大勢が苦手なんでしょう。だからと言って一人ぼっちでもなさそう。親しいお友達もおられるようですし・・それほど捨てたもんじゃないですよ。

 

 昔、診療所に内気過ぎて生活に困るくらいだという男性が来られました。荒っぽいことをしてしまったと今でも後悔しているのですが「そんなに内気で困ってるのでしたら、この薬を飲んでみたら」とある薬を安易に処方してしまいました。再びやってきた彼は「とても楽になりました。ありがとう。でも先生、こんなに簡単に治ってしまっていいのでしょうか?」と言われるのです。ぼくはハッとしました。彼の内気は彼の一部だったのです。それを取り去ると彼は自分ではないという居心地の悪さを感じたようです。そう、内気というのも個性で、かけがえのない自分の一部なんです。それからの彼は薬をやめて、開きなおり始めました。内気でどこが悪い、世の中確かに外向的で明るい人がもててるけど、内気だって立派にやっていけるぞってね。ぼくの本『心療内科医のメルヘン・セラピー』に彼をモデルにした話を書きました。あなたの参考になるかも・・