産経新聞 中川晶の生き方セラピー 第30回 平成16年12月4日掲載「世話をしても礼を言わぬ義父」

岡山県 主婦(36)

「69才の義父は右半身不自由なため、私が一人で、三度の食事の準備から尿瓶のかたづけまで世話をしています。しかし、食事の時の、いただきます、ごちそうさま、または、ありがとう。といった言葉をきいたことがありません。してもらって当たり前、と思っているからでしょうか。七歳と五歳の娘に示しがつきません。義父の顔を見るたびに、いらいらしています」

 

■回答

 

 何とも憎ったらしいジイさんですねえ。せっかく、あなたが優しくしてあげてるのをいいことに、つけあがっちゃってるんですかねえ・・面白くないですよね。一言「ありがとう」と言ってニッコリしたら、優しいあなたのことだから感動して泣いちゃうかもね。だいたい、このジイさん可愛げがないんです。

 ただね、義父さんの立場に立ってみると、これはこれで結構辛いものがあります。右半身が不自由ということは左脳の脳梗塞でしょうか。とすれば言語中枢がやられている可能性も否定出来ません。ひょっとして、うまくしゃべれないので無口なのかも・・

 古いタイプの男性だから、感情表現はもともと上手ではないのでしょうけど、そこへ脳梗塞が起こりしゃべりかたが変になってしまうと、よけい感情的引きこもりが起こります。さらに、人間シモの世話までして貰うと、その相手に頭が上がらなくなります。そうなるとあとは惚けるか、惚けられない人は虚勢張るしかないようです。惚けちゃうほうが楽なんですけど・・悲しいですね。

 妙に男らしさを強調する男性がいますよね。肩で風切って、外股で歩いたり、豪快に笑ったり、強がってみせたり・・女性でもくねくねして殊更女っぽさを強調する人がいます。そうかと思えば、同性からみたら言語道断みたいなブリッ子の女の子がいたりします。あれはね、精神分析では反動形成と言うんです。つまり自分の男らしさ、女らしさ、無邪気さなどに自信がないもんで、自信のない所を反対に強調してしまうのです。だから、ちょっと鼻につくんです。この義父さんの行動も反動形成に見えるんだけど、いかがですか?(ちょっと、義父さんの肩持ち過ぎですか?)

 でも、あなたがこんな風に解釈してあげて、ニコニコと義父さんに接してあげたら、状況変わるかも・・・ま、図に乗る輩もいるんですけど、試してみる価値はありますよ。

 

 娘さんに対しては「おじいちゃんは病気でうまく話せないからお礼を言えないけどココロではちゃんとお礼を言ってるのよ」と教えたらいかがでしょう。