■相談

 「父のことで相談します。父は小さい会社の役員をしております。大変頭がよく、年をとっても常に勉強しつづけ、立派な父だと尊敬しています。問題は、非常に影響されやすい性格の持ち主だということです。たとえば、生き方を指南するような本で気に入ったものがあると心酔し、『これはすばらしいことがかいてあるから』と私達にも読むようにしつこくすすめます。その程度ならまだいいのですが、時には、宗教じみたことまで手をだそうとするので、母は『気持ち悪い』と嘆いています。部屋にこもって瞑想していたこともあれば、『宇宙から気をもらう』とか言ってたこともありました。健康にも大変気をつかっているので、さまざまな健康法を知ると、また影響されます。困ったことに、新しい健康法を知って納得すると、すぐそちらに宗旨替えしてしまうものですから、たとえば『卵は一日一1個しかだめだ』といっていたはずなのに数カ月のうちに『卵はいくつ食べてもいい』と変化したり、『朝食はしっかり食べなさい』だったのが『朝は野菜ジュースだけにするべきだ』となったり。父のことですから、どれもそれなりの考えがあってのこととは思いますが、ちょっと迷惑しています。すすめられるたび、やんわりと断ったり、聞いたふりをして放っているのですが、父は『わかってないなあ』と悲しそうです。そして最近、すすめられる頻度が増してきました。この先、どうしたらいいでしょうか」  

                            大阪府 団体職員(31)

■回答

 何とも、疑うことを知らない純真無垢を絵に描いたような人、権威に従う従順で勤勉な人・・これが子供だったら、とてもかわいい子ですむんだけどねえ。でも、お父さんと言うところが問題なのかなあ。一般に、人は大人になると疑い深くなります、よくいえば用心深くなります。その結果、損はし難くなりますが、多くのものを失っていきます。ぼくが思うに、それは道草する時間なのではないかなあ。現実的になればなるほど、想像力を失っていきます。ミヒャエル・エンデの「モモ」では灰色の男というのが出てきます。この男達は皆同じ顔をしていて同じ灰色の服を着ています。そして人々から時間を盗んでいくので、皆がせかせかとして生活に喜びを失うようになります。そして、時間を盗まれた人々が大人と呼ばれるようになるという話なんですけどね。

 しかし子供らしさを残すと、大人になって多くのハンデを背負うことにもなります。興味の動くままに動くので、無責任と誹られる事が多いし、感動を伝えようと躍起になるから周囲からうるさがられます。まさにお父さんってそんな人でしょ。お父さんって目がキラキラ輝いてません?それ、子供の目なんです。このタイプの人は、よほどのことがない限り治りません。無理矢理、現実的にさせると自分の大人としての出来の悪さに悲観してショボンとなってしまいますよ。こうなるともっと始末に終えませんよ。

 そうですね、いつもでなくてもいいですから、時にはあなたも子供心に帰ってお父さんの考えに付き合ってあげるのがいいでしょう。『宇宙から気を貰う』なんて普通に考えたら気色悪いかもしれませんが、あなただって小さい頃は壮大な物語を楽しんだでしょ。色んなことを勧めてくるのは、どうもお父さんのフラストレーションみたいです。