■相談

 

「小さいとき、家庭の事情で子守さんに預けられました。その人が吃音があり、それがうつってしまいました。いろんな方法でなおそうと挑戦したのですが、直りきらないでいます。見合い結婚で今年二十五年になる夫は無口な人で、吃音のことは一言も言いません。感謝しています。子供は二人、大学に行っております。仕送りも大変なので先日、パートの応募をしました。しかし面接で、面と向かって『どもる癖がありますね』と二回もいわれてしまい、ショックでした。この不景気でなかなかパートの職もありません。年齢的にもきつくなりました。それだけに、腹が立つやら、くやしいやら、あせったり、落ち込んだり。気持ちをどう切り替えたらいいのでしょうか」  

                            和歌山県 主婦 (48)

 

■回答

 なんと!面と向かって二度までも「どもる癖がありますね」ですって。ひどい奴ですね。

ところで、あなたはパートの募集に落ちてしまったのは吃音のせいだと信じておられるようですね。その結果、もうパートは無理と思っておられる。

 うーん、ここなんですけどね、吃音は本人が思ってるほど他人は気にならないものなんです。現にあなたは幸せな結婚をされてるでしょ、今年は銀婚式だもんね。「そりゃ、たまたまいい人に出会っただけよ」とあなたはおっしゃるかもしれません。はいはい、きっと素敵なご主人なんでしょうね。でもご主人が吃音のことを一言も言わなかったのは、優しいからではなくて気にならないからという可能性はないですか?

 人ってね、一つや二つはコンプレックス持ってます。他人からみたらどおってことないんですが、本人は物凄く気にします。昔、ぼくの外来に絶世の美女が現れたんですが、この人の悩みがほっぺたのまん中の大きなニキビの跡つまり痘痕(あばた)なんです。彼女はそれを隠すために十字に絆創膏を貼ってるのですが、それが目立つんです。このニキビ跡が気になって彼女「私は世界一醜い女です。このニキビ跡のせいで私はずっと男性から相手にされませんでした」なんていう言うものだから回りにいた看護婦さんの目が途端にきつくなったのを思い出しました。まるで「何よ、嫌みな子!美人のくせに!」という無言の声が聞こえてきそうな・・でも本人は真剣なんです。あなたが吃音を理由にパートの応募を諦めるのは、この患者さんの十字の絆創膏みたい・・

 え?その患者さんはその後、どうなったかですって?何ヶ月か悶々と苦しみましたが、ある日やって来た彼女は十字絆創膏をはずしてました。堂々と痘痕を出してニッコリ。見事に痘痕を笑くぼに変えてました。